コンサルティングファームを退職し、プライバシーカウンセルとして働くことになりました。

【この記事は法務系 Advent Calendar 2019における6日目のエントリーです】

Hibiさんからバトンをいただき、退職・転職エントリーを書こうと思います。以下のような効果があれば嬉しいなと思って書いてみます。

  • 法務の方が、セキュリティ・プライバシー領域に興味を持ってくれる
  • セキュリティ・プライバシー領域の方が、転職事例として参考にしてくれる

 

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1.退職エントリー部分

(1)コンサルにいきつくまで

私は司法修習(66期)終了後、法律事務所を経ずそのままコンサルティングファームに入りました。もともと弁護士になるに際して強い原体験があるわけではなかった自分には、当時は就職先として「大手or街弁」くらいの認識しかなく、

・大手

自分の周りで「数年勤務した後、病気を患い退職」という事例がやけに多かった

 

・街弁

当初はこちらを志望するも、試験終了後にバイトで雇ってもらい生の事件に対峙してみると、困ったことに相談者の思考や行動に全然共感できなかった

 ということで、修習開始を前に行き詰まってしまいました。

Twitter経由で色々な先生に突撃で面談を申し込んだりしながら散々悩み、最終的にコンサルに行くことにしました。第3の道を選ぶための時間的猶予と手がかりが欲しく、そのためには広くビジネスを知れる所がいいだろうとの考えです。

(2)コンサルでのキャリア

手がかりが欲しいという理由から、弁護士 × ○○といった掛け合わせを沢山試せる環境が良いだろうと考え、総合系のコンサルに行きました。 

実際にアサインされたプロジェクトを振り返ると

・組織人事

労働法選択ということもあり、最初は組織人事ユニットに行きました。等級・評価・報酬制度を作ったり、採用・育成・退職の施策を立てたりと会社が回っていくルールを叩き込んでもらえ非常に面白く、また勉強にもなりました。

弁護士資格との相性はそこそこ良く、「組織」に寄ると税理士的な側面が、「人事」に寄ると社労士的な側面が強みになるかな…という印象でした。

 

・戦略

続いてコンサルの花形というか、戦略ユニットに行きました。「コンサルかくあるべき」的な指導をかなり受け、コンサルとして大きく成長した時期でした。

中にはルール形成戦略(事業戦略とロビイングの複合案件的なもの)みたいなのを扱う機会もあり、なかなか面白く今までとは違う人脈も広がりました。 もっとも領域としてはゼネラリストを限界まで極めたような所であり、弁護士資格との相性は良くありませんでした。

 

 ・テクノロジー

最後にテクノロジーユニットのセキュリティ・プライバシー部門に行きました。学生の頃からCTF(セキュリティ技術のクイズ大会のようなもの)が好きだったこともあり楽しく仕事ができました。

 「セキュリティ人材○万人不足」が本当かどうかはわかりませんが常に沢山仕事があり、また数年前から各国でセキュリティ・プライバシー法の制定が続いているのは皆さんご存知の通りです。

 というわけで、弁護士×セキュリティ・プライバシー辺りが自分には向いてそうだなと思い、この領域で仕事を続けて今に至ります。

(3)退職判断

 コンサルはスタッフとマネージャで性質ががらっと変わるので、転職のタイミングとしては前々からマネージャに上がるタイミングに目星をつけていました。

このままコンサルとして生きていこうか、武器になる領域が見つかったのだし弁護士としてのキャリアを模索しようかはかなり悩んだのですが、結果としてこのタイミングで後者の選択をする決断をしました。

 

2.転職エントリー部分

(1)事前準備

 セキュリティ・プライバシー領域を軸にしようと決めてからは、DataPrivacyCareers.comというサイトを見に行くようになりました。

ここはセキュリティ・プライバシー系の求人が集められているサイトで、大量のJob Descriptionを読むことができます。現在多くの企業でどのような経験・スキルが重視されていて、どのような資格が重宝されているのかを理解しながら、自身の注力分野を微修正する日々が続きました。

また、弁護士資格との掛け合わせという意味ではやはり"Privacy Counsel"とのタイトルで検討するのが良さそうだな…という感覚を持つに至りました。

(2)転職先探し

転職先を選ぶに際しては、

【要素①】程よい成熟度

【要素②】(言うなれば)炎上体質

の2要素を満たす所に行きたいなと思っていました。

【要素①】

ガチガチの伝統企業だとオーバーヘッドが多そうで、他方イケイケの若い企業ではセキュリティ・プライバシーへの理解を得るまでに苦労するのでは…との考えによるものです。

 

【要素②】

以前セキュリティ界隈で、『経営層にセキュリティの重要性を理解してもらうには、継続的に「ほどよいインシデント」があるといい』みたいなやや不謹慎な冗談が流行ったことがありました。もっとも、私も趣旨には共感していて、これはセキュリティにもプライバシーにもあてはまるかなと考えました。

以上を踏まえ、炎上やアンチという言葉とうまく折り合いを付けながら、理念・モラルを持って頑張っているそれなりに成熟した企業が良いなと思うようになりました。

(3)転職活動をした企業

カジュアル面接だけで終わった所、最終面接まで終えた所と色々でしたが、以下の5つの企業に対して転職活動を行いました。振り返ってみると、その多くが友人を通してのリファラルだったのはなんだか今っぽいなと思います(こなみ)。

  • HR Tech企業 A社
  • 米系SaaS企業 B社
  • コミュニケーションアプリ企業 C社
  • C to Cアプリ企業 D社
  • 衣料品販売企業 E社

 (4)結論

というわけで、年明けから「コミュニケーションアプリ企業 C社」ことLINE株式会社にお世話になることになりました。

大きなニュースもあり色々な方が期待や懸念を表明されている中、そんな会社のセキュリティ・プライバシーを担当できることにとてもやりがいを感じています。

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明日はコンサルつながりのお友達、なかがわさんです。なかがわさんもいつかコンサルからの転職ポスト書いてくれるかな。

それでは皆様、よい年末を。