私は司法修習66期(2013年)なので新規登録弁護士って年でもないんですが、色々あって先延ばしにしてきた国選の刑事弁護研修をこの度終えました。手続面で迷った部分も多かったので、
- 新規登録弁護士の皆さん
- 私のように研修を後回しにして困っている皆さん
あたりを想定読者に設定して、感想・解説記事を書いてみます。 (なお東京での弁護士登録を前提としています)
0.忙しい方向け
→結論
1.弁護士会での登録手続
まず最初に、座学系の研修書類と一緒に配られる登録書類(「国選弁護人契約申込記載…」)を弁護士会に出します。
当初のスケジュール通りに研修を受けなかった人は、このタイミングで自分が担当する日(下記の「2.法テラスでの受任手続」をする日)を弁護士会で選ぶことになります。9〜12月なんかは恐らくスケジュールされた人もいないので、比較的自由に日程を選べて良いんじゃないかと思いますね。
2.法テラスでの受任手続
弁護士会3階の法テラスで事件を割り当ててもらいます。
割り当てられる事件は確か2~3のカテゴリーに分けられていて、新規登録弁護士研修では一番難易度が低いカテゴリーから選びます。(難しい事件、裁判員裁判事件が除かれてるんだったかな) 法テラスの壁には「事件を選ぶ時に、検察庁に電話して追起訴予定があるかとか聞くな」みたいなポスターが貼ってあって、どんな職業でも悪いことする奴はいるもんだなと思います。
*事件選択についての補足
成長するから黙って選べ。選り好みするな。
というありがたい先輩のお言葉を何度か聞きました。
まあ言い方はどうかと思いますが、どの事件を選んでも「どれもほどほどに苦労するが、そこまで困ったことにはならない」というのが先輩・同期・後輩と話して感じた私の結論です。そこまで神経質にならずに選べば良いと思います。大丈夫。
実際この時点での予測なんて本当あてにならないもんですよ。「窃盗で負担が軽いと思っていたら、ボロボロ追起訴が出てきた」とか。「傷害で「強面被害者との示談辛い」と思っていたら、あっさり示談済んで不起訴」とか。色々ありますからね。
3.裁判所での選任手続
東京地裁の刑事第14部で選任手続を受けます。場所は東京地裁1階の端(法務省側)かな。
これがもう鬼の流れ作業で、気の弱い人(私含む)は少ししゅんとすると思います。
4.被疑者段階
刑事第14部で「接見希望」と伝えておくと、そのまま裁判所の地下で初回接見ができます。
私の回は時間が10分しかもらえず、もう定型的なセリフをわーと喋って、被疑者の話を少し聞いたらタイムオーバーでした。被疑者を不安にさせないためにも、ここはきちんと準備しておくべき所ですね。
接見に関して、法テラス的に気をつけておいた方がいいのは
- 初回接見後、一度事務所に戻って色々準備して夜にもう一度警察署で接見しても、法テラスの接見回数カウントは1回
- 報酬算定のために必要な接見資料(通称:法テラスの紙)は、毎回ちゃんと警察署の方にくれと要求しなければくれない
といった所でしょうか。
5.被告人段階
不起訴になった場合は、その時点で研修は終了だったと思います。 起訴になった場合は、研修が続きます。
この辺りからは検察官と連絡を取り合う回数が増えます。証拠の閲覧準備ができたのと連絡を受けたり、証拠意見を伝えたり。この時代にFAXで用件を伝えたり、紙の文書を見せてもらうために検察庁まで足を運んだりとか、本当になんとかならないのかなとは思います。
6.雑感
可能な限り時間を割いて全力を尽くして対応し、得られた結果(勾留取消+執行猶予)にも満足しています。
が、これを続けていく自信は、時間的にも金銭的にも情熱的にもちょっと私には無いですね。。。継続的に国選を受けられている先輩方のことは本当に尊敬します。私だったらそのうち適当に手を抜くようになってしまいそう。
4年ぶりに刑事事件(国選)をやっているんだが、世の中の先生方がなぜこの「負担がめちゃめちゃ重くて収入の少ない事件」を回すことができているのか全く理解できない。 やることが多すぎて時間ばかり取られる上に収入がほとんど入らない。自腹の経費はバンバン出ていく。
— seko.law (@seko_law) 2017年11月7日
7.結論
長々書きましたが、以下の2冊を読んでおけばOK