改正電気通信事業法をめぐる実務対応の最前線 第4回

改正電気通信事業法の外部送信規律について、

  • 勤務先で自ら / 同僚と対応
  • クライアント先で検討

した結果得た、学びや悩みについてまとめていっています。

 

今回はちょっと予定を変更して、外部送信規律の社内研修について取り上げます。本来はもうちょっと後で取り上げるつもりだったのですが、こういうプロジェクトの定石として「スモールスタート」「パイロットケース」みたいな話があると思います。

全社展開をする前に、密にコミュニケーションを取れる部署と試しに調査をやってみるというやつですね。これをやるためには、そのパイロットケースを担当してくれる部署に対して早めにご説明・研修をする必要があります。

そこで、今日はパイロットケース用の社内研修資料について書きます。

第1回:総論

第2回:EC・オンラインショッピング

第3回:スコープの外縁

第4回:社内研修(今回)

 

1.サンプル

サンプルとして、私が作ったエンジニアの方向けの研修資料を共有します。

speakerdeck.com

 

2.資料構成(P.3)

まずは端的に依頼内容をご説明し、その上で必要な背景事情を補足するのが良いかなと思いました。

なお、そもそも本件に取り組む意義や必要性について議論したいみたな状況だと、「2.背景事情のご説明」から入るのがいいかなと思います。

 

3.1st環境への外部送信(P.6, 23-27)

(1) 3rd環境の説明

ここはいつも取り扱いに迷うところなのですが、この難解な法律を、真正面から非法律職の方にボトムアップでご説明するのは適切ではないと私は感じています。

そこで、ひとまずは「3rd環境へのデータの外部送信を調べているんです」という、相手からも理解を得やすい部分についてご説明するのがいいんじゃないかと思います。

(2) 1st環境の説明

その上で、資料の最終盤、Appendixとして1st環境への外部送信について補足をします。メインどころである3rd環境への送信をまず理解してもらい、その上で1st環境への送信をお伝えした方が入ってきやすいんじゃないかと。

 

4.具体例(P.6,8)

やはりだらだらと法律の説明や、そのための調査手法の説明をされてもエンジニアの方には伝わらないと思っています。具体例として製品名を入れてみることで、「え、だったらこれも対象じゃないの?」みたいな、先方の知見を引き出すきっかけになることも期待しています。

 

5.最終的な利用方法(P.13)

調査の結果がどのように使われるかについても、この段階でイメージを伝えておくのが良いと思います。

この辺は各企業ともまだまだ調整中だと思うので、今後一緒に議論していきたいということが伝わるようなページにするのが良いと考えました。

 

6.背景事情(P.14-21)

背景事情については、冒頭述べた通り相手のスタンスによってかける時間を調整するべきかなと思います。

「本当にやるの?」という方に対してはこの辺り丁寧に説明すべきですし、「わかったから何しなきゃいけないのか教えて」という方に対しては資料共有だけで良いかもしれません。

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以上です。

施行期日である6/16を前にして、GWをしっかり休むためにも3月末までにはある程度の目処はつけておきたい所ですよね、皆さんのご参考になれば嬉しいです。